2005年06月21日

魔法やさん

免許証みせて あなたが乗りこなす動物たちの名前をみせて (穂村弘

厚生労働省に第三種職業魔術師免許の更新へ行く
税金の申告やら違反魔術法改正やらのレクチャーを受けたのち役人の前で魔術の実演をしないと更新はできない
魔力の落ちた魔術師は免許を剥奪されるのである
ひょいひょいとアフリカ象を折りたたんで手乗り象を拵える
半分に折りたたんだ象を折り紙の要領でまた半分にする
この作業を幾度か繰り返すと手のひらに乗る象になるのである
それまでっ!、役人は云うと真紅のマントを背中に掛けてくれる
合格である
これであと5年は生計を立てることができる
手乗り象は両の耳をぱたぱたと羽ばたかせて厚生労働省の天井にこつんとぶっつかって元のアフリカ象の姿に戻りながら落っこちてくる
お昼休みの厚生労働省のロビーはちょっとしたパニックである
20048011
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2005年06月17日

はなやまい/きいろ

海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手をひろげていたり (寺山修司

しばらくお会いしなかったせいだろうかタケノコトリさんが黄色い
背中に生えていたふうわりとした羽根が消えてなくなっている
おでこから伸びていた2本の触覚も、ない
もう以前のように蝶にはみえない
はなやまいを患うと蝶のなりになるのである
両手にタケノコトリさんを載せてやる
さららさっさらりりらせせら、と云ってはタケノコトリさんはぼくの両手のうえでゆうらり泳いでいる
よろこんでいるのだろう
はなやまいを患うと感情がぎゅっと縮むのである
タケノコトリさんが見たこともないところへ連れていってやろう
きっとよろこんでくれるだろう
20050617
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2005年06月02日

やがてなにもかもが泳ぎだす

夕ぐれの川べに立ちて落ちたぎつ流るる水におもひ入りたり (斎藤茂吉

片想いの人からいただいた鉢植えに水をやる
おや、と目をむける
鉢植えの土のうえに男の子やら女の子が、いる
小指ほどの大きさであろうか
男の子はみどりの帽子を、女の子は赤の帽子を被ってゆらり泳いでいる
葉がひらり、土のうえに落ちる
やがて葉はしずしずとみどりの帽子の男の子になってゆらり泳ぎだす
はじめからそんな気はしていた
葉を落とさないように世話をしてやらねばならない
男の子やら女の子は、そんなこと知りやしませんよな顔でゆらり泳いでいる
20050602
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2005年05月28日

くっつく

灰色をねずみいろって言うひとがいるから冬はあったかいのだ (駿河朔

あたたかいね、
黒いねずみは云う
ほんと、あたたたかいわね、
白いねずみも云う
ね、あたたたたかいでしょ、
黒いねずみは白いねずみの右半分にくっついて云う
すごい、あたたたたたかいわ、
白いねずみも黒いねずみの左半分にくっついて云う
どうしてあたたたたたたかいんだろう、
黒いねずみは白いねずみをちょきちょき切り裂いて白いねずみの身体に入って云う
どうしてあたたたたたたたかいのかしら、
白いねずみも黒いねずみをちょきちょき切り裂いて黒いねずみの身体に入って云う
黒いねずみと白いねずみはくっついてもうおよそどっちが黒いねずみか白いねずみか見分けられない
天気予報のおねえさんが今日はこの冬でいちばんあたたたたたたたたたかくなるでしょうと云った
20050130
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2005年05月25日

下半身

ふらんすは遠いけれどもにくたいも遠いものだしいってらっしゃい (本田瑞穂

片想いの人から下半身をいただく
どこへ行くにもとことこと付いてくる
紳士便所に付いてこられるのはいささか困るが最初にきつく咎めてやると待合ロビーなんかで下半身はじつと待っている
わりに利口なんである
下半身であるから食事を食わせてやる必要はない
ときどき浴室で乾いた糸瓜でごしごしと洗ってやるわけである
何度か試してはみたがまぐわいがうまくいかないのは難儀である
致そうとするがうまく致せない
相関性についてはとんと不案内である
片想いの人はまだ上半身をくれない
20050316
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2005年05月21日

母の母の骨

ひら仮名は凄まじきかなはははははははははははは母死んだ (仙波龍英

赤い風船が空に吸い込まれて少女が泣いている
母の母が母のあたまをいいこいい子と撫でている
だいじょうぶよ、と
母は花のかたちをした赤い髪留めをつけたちいさな少女で母の母は若く、ずんとおおきい
背筋はしゃんと伸びている
こんな母の母を見たことはついぞない
いつもの母の母は手のひらほどの大きさで背骨はぐにゃりとひん曲がっている
母に半分ほどに折り畳まれて巾着袋ですうすう眠っているのが常である
母の母の骨は柔らかくぽきっぽきっと畳みやすい
ちいさな母は安逸な表情で背筋がしゃんと伸びた母の母を見上げている、というわたくしの長いまどろみであった
子どもの子どもに半分ほどに折り畳まれて巾着袋で母や母の母の夢をみながらまどろむのは安逸である
巾着袋のなかでわたくしの身体ががほつほつと縮んでゆくのを感じる
ちいさな母は赤い飴玉を舐めている
母の母の背骨は凄まじい速さで溶けてゆく
わたくしの長いまどろみはつづく
20050521
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2005年05月16日

ばらの花

ときどきひとりでカフェに座っているあの子
口元がやけに気の強そうな (林あまり


おや、と思ってジンジャーエールに目を落とす
水泡の一粒一粒に赤い帽子の女の子が、いる
およそ1,000人はいるだろうか
ぼくはくるりと目を廻す
程なくジンジャーエールの気は抜けて水泡の女の子はひとり、ひとりと、消えてゆく
最後の女の子がぼくににこりと笑いかけて、すぅと消える
片想いの人から頂いた一輪のばらの花がゆっくりと開く
テーブル・クロスに女の子が被っていた帽子が1,000も散らばっていて片付けるのは骨である
いつにもましてテーブルは甘たるい
20050516
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2005年05月13日

天使たちのシーン2

逃避行できない我と君のため空いっぱいに描く星の地図 (俵万智

「かすが苑」で羽根を売るようになって久しい
クリスマスのころになると天使たちが羽根の修繕やら新調に押し寄せてめまぐるしい
それぞれの背中の寸法と体重に合わせた羽根を拵えるのである
クリスマスが終わるとかすが苑は閑散として懇意にしている天使たちと麻雀をして過ごす

めずらしく来客があった
くたびれた様相をした白鳥座である
どうもうまく飛べないのです、
ときどき羽根がすぅと消えてしまうのです、白鳥座は云う
ずいぶんと小さく汚れてしまった羽根をくるりと背を向けて見せてくれる
実際に2秒か3秒であるがすぅと消える
白鳥座の肩の寸法を測ってやり羽根の欠陥を修繕してやる
およそ直せない羽根はない
もう消えることはあるまい
新しい羽根は白鳥座に調和し白鳥座は羽根をより丁重に扱うのである
空いっぱいに堂々と君臨している白鳥座を天使たちと見る
ご機嫌な天使たちは羽根を広げて夜空の端から端を幾度も赤いループになって旋回する
ぼくはつぎつぎに新しい羽根を拵えて修繕を施すのである
天使たちは夜を通してぼくを見守るように鮮やかな旋回を繰り返している
20050511

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2005年04月28日

はなやまい、みたび

君かへす朝の舗石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ (北原白秋

キバエミミさんがはなやまいを患う
ほのと青くまだ熟れていない林檎ばかり喰う
典型的なはなやまいの症例である
早晩おでこから2本の触覚が生え背中からは艶やかな黄色い羽根が生えてくるのである
1mほどなら、飛べる
こうなるとキバエミミさんか蝶か見分けがつかない
とにかく青い林檎を与えつづけておやりなさい、老医師がおっしゃるのでキバエミミさんを連れて林檎もぎに出掛ける
青い林檎をもぐのである
林には燃えるような赤い林檎がたわわに実のっていて青い林檎を探すのは骨である
ぼくは8個もいでキバエミミさんは5個である(そのうち2個はすでに食べたようである)
11個の青い林檎をナップザックに詰めて持たせてやる
また明日もぎましょう、ぼくは云う
そうね、キバエミミさんはにこりと笑って背をくるりとむけて跳ねるように歩きだす
どことなく蝶めいた歩き方である
ちゃんと林檎を食べるのですよ、ぼくはキバエミミさんの薄く発光しだした背中に向かって云う
ざっくざっくとナップザックの擦れる音が遠のいてゆく
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2005年04月26日

ずれる

ひるねからわたしだけめざめてみると右に昼寝をしてるわたくし (斉藤斎藤

恋人の指が1本ずつ、ずれる
お父さん指が、お母さん指の場所へ
お母さん指は、お兄さん指の場所へ
お兄さん指は、お姉さん指の場所へ
お姉さん指は、赤ちゃん指の場所へ、ずれる
赤ちゃん指はというと、ぼくのポケットですやすやすやすやと眠っている
恋人と言えどすこし前までほんの知り合いだったためにまだ定まっていないせいであろう
定まると、ずれない
もうすこし様子を窺うべきであろう
修理センター(指セクション)へ問い合わせの電話を掛けるのはそれからで構わない
ぼくの右隣で安息な表情で眠っている恋人を見ているととても製造センターに新しい恋人を作ってもらう気にはなれない
20040831
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2005年04月14日

賑やかな指

テーブルも鍵盤となれ恋人のただ爪音のショパンを聞かう (荻原裕幸

聾の恋人は話しつづける
指をくるくると取り外したりひん曲げたりくっつけたりして、話す
ぼくはじつと耳を澄ませる
デザートディッシュには恋人の爪に塗られたマニキュアが新しい星座表みたいに散らばる
甘いスイーツに恋人の言葉がしんしんと折り重なってゆく
テーブルで寝そべっていたスプーンほどの大きさの女の子は散らばる色とりどりのマニキュアを拾い集めては丁寧に恋人の言葉に変えてゆく
聾の恋人はいつまでも話しつづけている
20050104
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2005年04月09日

若く美しい女の舌

神様にごめんなさいを言いながら舌を出したり舌を噛んだり (田丸まひる

秋のあいだ林檎もぎをして暮らしていた
前の夏に鉛筆工場に篭もっていたせいだろう
戸外での労働を欲していたのである
朝8時から夕方4時までひたすらに林檎をもぐのである
緑から赤になる段階を5段階に選別して1と2の林檎はもがない
3と4をもぐのである
5の林檎は昼休みと夕食後に食べる
朝にも食べる
あまりに赤いと出荷できないのである
秋も深まったころ最後の林檎の木で女の舌を拾う
5の赤さである
若く美しい女の舌であろう
年を取った女ではこうは赤くない
せいぜい3か4である
べっとりと濡れて重く持ち帰るのは骨であった
春になると舌は乾いて5の赤さではなくなっている
およそ舌にはみえず獣の骨のようである
春には花を摘んで暮らしている
時折5の赤さの舌を見つけるが持ち帰らない
若く美しい女の舌は、若く美しい女の許になければならない
20041008
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2005年04月07日

みぎみみぎぎぎ

右の手が右前足であったころ月に恋したあの「せつなさ」さ (干場しおり

ほのと赤めいた右の耳が薄らいで縮んでゆく
もうおよそ耳のように見えない
大きさは小指の爪先ほどである
これでは片想いの人の言葉がきちんと届かない
らろってらられぎぎぎがぐごご、と聞こえたり
ひゅらひゅうめひゃんひゃひゅっぱ、と聞こえたりでほとほと困る
赤めいた耳だったころは片想いの人ともうすこし通じていたような気がする
あるいは、ぼくは錯覚でできているのだろうか
20050407
posted by 日菜清司 at 22:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌流歳歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月28日

はなやまい、ふたたび

泣きながらあなたを洗うゆめをみた触角のない蝶に追われて (東直子

恋人がはなやまいを患ってから久しい
おでこから2本の触覚が伸び、背中からはあでやかな黄色い羽根が生えてきている
もうおおよそ蝶のなりである
1mほどならば、飛べる
このままならば恋人は蝶になってしまいそうである
いくらかくすんできたので羽根を洗ってやる
浴室で衣服を脱がせてやり羽根を、腹を、踝を、触覚を、乳房を、蝶のような部分も人のような部分もきれいに洗ってやる
恋人は蝶の言葉でよろこぶ
耳を澄ませるとそれはひらのひらったひらかろひらって、と聞こえる
たぶん、よろこんでくれているのだろう
ひらのひらったひらかろひらって、ぼくが言うと恋人は人めいた足をばたばたとさせてひらのひらったひらかろひらって、と幾度も繰り返す
よろこんでくれているのなら、うれしい
不完全にしか伝わらない言葉はもどかしい
完全に伝わる言葉はおそろしい
ぼくは、それが人であれ蝶であれ、恋人に向けて言葉を発しつづけるほかない
20041112
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2005年03月21日

はなやまい

いつからが夏だというのではないのだし私の夏は明日からにしよう (永田紅

恋人がはなやまいを患う
はなやまいになると猛烈に蜜を欲するようになり蜜を喰わなければ喉がからからになってやがて干からびてしまうのである
干からびて草むらの落ち葉や土と混じって消えてゆくはなやまいの症例を老医師に見せてもらう
恋人を消えさせるわけにいかないのでコンビニエンスストアに出掛けてありたけの蜜を買う
カエデ第二児童公園の「花の庭」に並んで座る
ずいぶんと暑い午後である
恋人はちゅうちゅうと蜜を吸っている
そのように来る日も来る日も「花の庭」へ蜜を持って午後のハイキングを行うのである
蜜ばかり喰うようになって一週間ほどであろうか、恋人のおでこから2本の触覚が生えてくる
背中からはあでやかな黄色い羽根が生えてきている
50cmほどならば、飛べる
恋人なのか、蝶なのか、ゆくゆく区別ができなくなる
「花の庭」には午後の強い陽射しがずんと落っこちてくる
まだ消えてはいないが恋人はおおよそ蝶のなりである
それはよかったです、老医師は仰る
はなやまいの快方の症例だそうである
もうすこしの辛抱です、蜜をどんどんと買っておやりなさい、老医師はつづける
そのようにして蜜の買い足しに向かう
恋人はぼくの肩のあたりをひらひらと飛びながら追いかけてくる
ずいぶんじょうずに飛べるようになったものである
20050321
posted by 日菜清司 at 18:14| Comment(0) | TrackBack(1) | 歌流歳歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月17日

患う

夕ぐれのコップの水に触れてみる瞼にふれたようなかなしさ(加藤治郎

いらっしゃいな、水でできたひとの声がする
おや、と思ってタケノコトリさんはスプーンを銀皿に載せて耳を澄ませる
空耳でしょうか、患っていた耳が治癒したばかりで心許ない
こっちでまぐわいをいたしましょう、確かに水でできたひとの砂をこすったような声である
水でできたひとは液体になってコップのなかに、いる
近頃は夕方になるのが早い
昼のあいだはもういくらか人めいたなりをしている
水玉のネクタイを巻いてダーク・グレーのスーツを着てどこかへ出掛けるのである
昼のあいだどこへ出掛けているのかタケノコトリさんは、とんと知らない
夕方になると冷やこい液体になってまぐわうのである
まぐわいをいたしましょう、水でできたひとはコップのなかからしきりと誘う
タケノコトリさんは衣服を剥いでコップのなかに入る
すこおしずつタケノコトリさんの液体と水でできたひとの液体が交じり合い赤めいた液体になってゆくゆく見分けられなくなる
夜になると次の朝になるまで水でできたひとはすぅと消える
夕方はきわめてみじかい
眼を患ったのでしょうか、タケノコトリさんは思う
銀皿に載せたスプーンがどうもうまく取れない
20040904
posted by 日菜清司 at 19:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌流歳歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月16日

ふしだらな太腿

不可解 不機嫌 不要 不明 不穏 不当 不協和音 ふしだら ふふふ (沖ななも

ふみ、ふきえ、ふうか、ふたば、ふじよ、ふくみ、不機嫌な婦女子がふつふつと増えて震えていると、
風船が膨らんでふわふわと俯瞰して不協和音のフルートの蓋を塞ぐと、
冬の故郷で双子は襖を吹っ飛ばしごっことふざけたフラダンスで吹き出しちゃうと、
踏切のファンファーレから船に付属のフルーツの袋を2組の太った夫婦に踏んでもらうと、
ふかふかの蒲団でふりふり深田恭子ファッションのフリーターの太腿に触れまくっていると、ふにゃふにゃにふしだら
ふーしーだーらー
ふんっだ
20050316
posted by 日菜清司 at 17:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌流歳歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月09日

名前のない地図

遠い国からの手紙がおまへにももうすぐ来るよそしてそれから (小島ゆかり

盲の片想いの人が描いてくれた地図をいただく
地図を頼りに片想いの人の家へ向かうがとんと辿り着けない
名前のない山を越え、名前のない川を渡り、名前のない坂を転がり、名前のない森を潜り、名前のない獣に尋ねてみるが見つからないのである
たいそう困る
片想いの人へ手紙を綴ってはみたけれど片想いの人の名前をとんと思い出せないでほとほと困る
なによりも名前のある地図をいただかなければならない
20050309
posted by 日菜清司 at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌流歳歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月06日

転がる

この街の坂といふ坂一箇所にあつまりて見ゆ夕映のとき (栗木京子

マンダリン・オレンジのマニキュアの瓶が転がる
坂はおそろしく長く傾斜はきついので瓶はぐんと加速してゆく
およそ1本の獣の尾にみえる
追って除光液の瓶が、女の指が、転がる
手の指10本、足の指10本が猛スピードで転がる
つづけて裸の女(指なし)がでんぐり返りで転がってくる
ブラジャーやらハンドバッグやらワンピースやら女の鎖骨やら踝やら唇やら乳房やらなんやらが色鮮やかな獣の尾のようにつぎつぎと転がる
急ぎであろうか
坂は上を見る限り始まりはなく下を見る限り終わりがない
マンダリン・オレンジのマニキュアの匂いがいやに甘たるく残っている
posted by 日菜清司 at 20:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌流歳歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月01日

100の呼吸で

真っ白な展望台のてっぺんで空と握手をしよう三月 (佐藤羽美

握手しゅましゅうか、白いニット帽子の男の子が云う
ぼくのおでこの前にふうわりとその男の子はいつも、いる
大きさはスプーンほどであろうか
普段は話しかけてくることはないのだが桜のころになると握手しゅましゅう、と云って手を伸ばしてくるのである
ニット帽子では蒸すのであろう
ぼくは白いニット帽子をぱたぱたとはたいてカラフルな日よけ帽子を被せてやるのである
男の子は喜んでまたぼくのおでこの前でふうわりと、いる
どこまでがぼくの呼吸なのか男の子の呼吸なのかとんと区別できなくなる
桜の花びらがひらひらとゆるりとした風に揺れて、ぼくは手を伸ばす
花びらはぼくの手のひらからするりとこぼれて空と区別できなくなるまでひらめいてゆく
ぼくは、そしておでこの前の男の子は、じつと見ている
佐藤羽美処女歌集『100の呼吸で』
  佐藤羽美処女歌集『100の呼吸で』絶賛発売中!
  お問い合わせは『ヒナウタ』まで
posted by 日菜清司 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌流歳歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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