2005年11月09日

古物屋

近づくと離れてしまう袖とひゃくまんかいのしゅんかしゅうとう、うん

古物屋の店主に薦められて睦言を買う
いまどき睦言を持ってらっしゃらないとは珍しいですな、
うちの倅ときたら学生だてらに7つも睦言を持っていやしますよ、にやにやと店主はぼくを擽る
それでは買おうと値段を尋ねる
ぼくのひと月分の給金ほどである
果たして中古の睦言の市場価格はいかほどなのかとんとわからぬので現金で支払いを済ませて家へ持ち帰る
そのようにして睦言を手に入れた
やはり睦言であるからのべつ睦言を喋る
愛しているわ、だの
百年経っても愛しているわ、だの
百万年経っても愛しているわ、だの睦言をぶっつける
中古の睦言であるからぼくがなにを言おうと返事はくれない
ずっと愛しているわ、だの
あたしは永遠を知っているわ、だの
決して決して後生だから離さないでね、だの言う
そのようにして一ヶ月のあいだ仕事にもどこにも出掛けないで部屋で睦言を聞いている
愛しているわ、愛しているわ、愛しているわ、ずっとよ、ずっとよ、ずっとよ
古道具屋へ返しに行かねばならないと思う
そうしないとぼくが壊れていくだろう
思うがとてもそんなことはできない
睦言はのべつ睦言を繰り返す
ぼくはずっと睦言を聞いている
20051109
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posted by 日菜清司 at 19:42| Comment(0) | TrackBack(0) | my song | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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