2006年12月22日

水禽

魚食めば魚の墓なるひとの身か手向くるごとくくちづけにけり (水原紫苑

水でできたひとは水でできているので名は、ない
名がないと後ろから呼びかけるとき困る
どのように呼びかければいいのでしょうか、タケノコトリさんは問う
後ろから呼びかけるときに不便ですから、と
わたくしには前も後ろもございません、水でできたひとは応える
よって呼びかけることなどないのです、と
水でできたひとはコップの中からタケノコトリさんをしきり誘う
まぐわいをいたしましょう、と
タケノコトリさんの手を引く
するりと衣服を剥ぐ
背中の翼を丁寧に折る
そうして一糸まとわぬタケノコトリさんをコップに注ぐ
まぐわいがはじまるとほとんど液状の態になる
ぴちゃ、と甘い息を漏らす
それが水でできたひとの液体なのかタケノコトリさんの液体なのかとんと聞き分けられなくなる
まぐわいが果てると水でできたひとは消える
す、と
空のコップがテーブルをごろんと転がる
水でできたひとに名がないと、やはり困る
タケノコトリさんは衣服を一枚ずつ身に着けながら思う
背中の翼がどうもうまくくっつかない
061222
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posted by 日菜清司 at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌流歳歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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