2006年03月16日

鱗粉

きみに逢う以前のぼくに遭いたくて海へのバスに揺られていたり (永田和宏

運転手の運転帽子がぶかぶかである
森を走行しているころはそんなではなかった
もっとぴたりと頭部に収まっていた
バスは獣たちを運んでいる
森を抜けたころから運転手の運転帽子はずれ落ちそうである
車内は水っぽい
乗客の獣たちはほとんど魚の風体である
獣らしさが消え魚になりつつある
散乱した鱗が黄色い室内灯に照らされる
およそ車内は水びたしである
主を失った運転帽子がぷかぷかと浮かぶ
運転手はバックミラーを調節する
バックミラー越しではそれらが獣か魚かとんと見分けられない
鱗の輝きで前を窺うこともできない
潮の匂いがする
海だろうか
バスはぐんと速度を上げる
060316
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posted by 日菜清司 at 19:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌流歳歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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