2006年12月25日

天衣

コピー機が(きょうもあしたもあさっても青い事務服)壊れたようだ

かすが苑で羽根を売るようになって久しい
以前は易者をしていたが眼を患ってやめた
そういうわけで羽根を拵えている
暮れも迫ると羽根を傷めた天使たちがやってくる
てんやわんやで目を回す
羽根を失った天使はどこにも着地できずに小さくなって死ぬ
死なせるわけにいかない
背中の寸法を取って目方を量る
修繕してやるのである
汚れた部位を拭く
色の褪せた部位は塗る
そのようにして美しく磨き上げた羽根を背中につけてやる
ひゅらりゅっぱひゅひゅらりゅった、天使たちは歓声をあげる
二度、三度、ループを描く
空に光粉が幾つもの円になる
そうして各各の風を見つけては羽ばたいていく
今年も天使たちは忙しくなるらしい
メリークリスマス
061225

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posted by 日菜清司 at 20:14| Comment(0) | TrackBack(0) | my song | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月22日

水禽

魚食めば魚の墓なるひとの身か手向くるごとくくちづけにけり (水原紫苑

水でできたひとは水でできているので名は、ない
名がないと後ろから呼びかけるとき困る
どのように呼びかければいいのでしょうか、タケノコトリさんは問う
後ろから呼びかけるときに不便ですから、と
わたくしには前も後ろもございません、水でできたひとは応える
よって呼びかけることなどないのです、と
水でできたひとはコップの中からタケノコトリさんをしきり誘う
まぐわいをいたしましょう、と
タケノコトリさんの手を引く
するりと衣服を剥ぐ
背中の翼を丁寧に折る
そうして一糸まとわぬタケノコトリさんをコップに注ぐ
まぐわいがはじまるとほとんど液状の態になる
ぴちゃ、と甘い息を漏らす
それが水でできたひとの液体なのかタケノコトリさんの液体なのかとんと聞き分けられなくなる
まぐわいが果てると水でできたひとは消える
す、と
空のコップがテーブルをごろんと転がる
水でできたひとに名がないと、やはり困る
タケノコトリさんは衣服を一枚ずつ身に着けながら思う
背中の翼がどうもうまくくっつかない
061222
posted by 日菜清司 at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌流歳歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月01日

薫修

こんなにも湯呑茶碗はあたたかくしどろもどろに吾はおるなり (山崎方代

ファクシミリの赤いランプが点滅する
恋人が来るのである
まずは花が届く
ファクシミリの紙片を集めて花にする
ほどなく恋人がファクシミリでやってくる
散らばった紙片を集めて恋人の姿色を作るのである
乳房にふうと息を吹きかける
すると恋人はほのと熱を帯びて目を開ける
ひとしきり舌と舌を絡めあわせると恋人はばらばらの紙片になっていく
帰るのである
ファクシミリの番号ボタンを押して送り届けてやる
部屋に残った花がつんと香る
061201
posted by 日菜清司 at 19:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌流歳歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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