2006年10月31日

氷魚

一心に船漕ぐ男遥に見ゆ金色の日がくるくると射し (北原白秋

望遠鏡に少年が住みついて久しい
箒星を見ているときに気がついた
レンズの縁をえんえん走りまわっている
フレームの端に少年が映える
気になると言えば、気になる
晴れた夜には流星をひとつ掴んでくれるので目こぼしにしている
穀を食い潰すわけでない
レンズの縁に蜜を塗ってやると舐める
舐め終わると再び円形のレンズの縁を走りまわるだけである
少年が掴んだ星がわんさとある
ポケットはじんと熱い
もういらないと言えば、いらない
わんさとある星をいかようにするか思案している
少年はようようと泳いでいる魚座の尻尾に手を伸ばす
欲しいかと言えば、やはり欲しい
061031
posted by 日菜清司 at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌流歳歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月17日

溶溶

「中学のころまで『金魚すくい』って『金魚救い』と思い込んでた」 (千葉聡

雪ではなかった
聾の恋人は指文字で教えてくれる
千代紙の雪がしんしん降り積もっているのです、と
指はひやこい
恋人の指は床にぽろぽろ落ちる
文字になるや指は一瞬だけ熱を帯びる
やがて溶けて消える
千代紙の雪は降り続ける
聾の恋人はどれだけ積もったか夜を通して教えてくれる
千代紙の雪は溶けないので片づけが骨である
061017
posted by 日菜清司 at 19:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌流歳歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月10日

隻眼

処女のころけんけんぱした少年も片目でしたね、森がみえます

けたたましく扉が叩かれる
フラミンゴがやってきたのだ
足音でわかる
タケノコトリさんは不貞寝して誤魔化す
扉は乱暴にいつまでも叩かれる
フラミンゴは忍耐強いので一度決めことは絶対にやりぬく
だからといって扉を開けるべきではなかった
フラミンゴは素早くタケノコトリさんの右の眼球を奪って逃げる
いつものことであるが困る
フラミンゴの家まで眼球を返してもらいに行かねばならない
フラミンゴは汚れた眼球を磨かずにいられないのである
これが骨である
片目で歩くのはいつまでたっても慣れない
タケノコトリさんはぴかぴかの眼球をつけてもらう
なかなかいいもんだろ、フラミンゴは云う
なかなかなんである
060214
posted by 日菜清司 at 19:44| Comment(0) | TrackBack(0) | my song | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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