2005年08月31日

いつかの5年2組

歌友みにごんさんと8月25日から30日にかけて短歌交換
8月24日生まれのみにごんさんと8月30日生まれの日菜清司のたった5日間の同級生であるふたりの誕生日企画


『いつかの5年2組』

25日みにごん
同級生だけが使える白魔法 溶けてなくなれ時間の余白

26日せいじ
5年2組のお別れ会の惨劇をおでこくっつけあって忘れる魔法

27日みにごん
混声のあどけない歌思い出し5年2組の危機乗り越えろ

28日せいじ
級長は母胎回帰の危機を説きポケットに傷だらけの林檎

29日みにごん
傷だらけ涙だらけの9年を温めあって29歳

30日せいじ
破壊した体計を敷きつめて三十年のでんぐり返り
posted by 日菜清司 at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月25日

過呼吸

アカンボノヨウニスイツクキミガイテアタシハナニヲシテアゲラレル? (川上史津子

吸ってばかりで吐くのを忘れる
で、恋人はみるみる縮む
はんぶんくらいに縮む
それでも吐くのを忘れて吸ってばかりいる
さらにもうはんぶんくらい縮む
カンガルーの赤ん坊くらいにまで縮む
ポケットにいれて持ち運んでやる
撫でてやろうとポケットに指を突っ込んだらがぶり噛みつかれる
恋人は噛みついたらぜったいに離さない
だからいつも血だらけである
したたるぼくの血液を恋人はごくり飲み干す
posted by 日菜清司 at 23:08| Comment(0) | TrackBack(1) | 歌流歳歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月10日

はんぶんごっこ

さよならの今日の形は蝶だったジャングルにいる極彩色の (佐藤羽美

まどろみからゆっくりとうつつに戻る
すると背中がじんわりと熱い
姿見で背中を覗いてみると黄色い羽根が生えている
おでこからは2本の触覚が伸びている
半分ほど蝶のなりである
50cmほどならば、飛べる
蝶になったことなどついぞない
であるから心許ない
ゆらりゆらり飛んでみると昨日まで恋人だったひとに出会う
こんにちは、半分ほど蝶のなりをしたぼくが云う
あらこんにちは、
あなたほとんど蝶のなりをしているじゃないの、昨日まで恋人だったひとは云う
あたしったらあなたのことなにも知らなかったのね、と
恋人だったひとは金色の体毛に覆われて緑色の尻尾を生やし鋭い2本の牙がある
牙は曲線の弧を描き空へと伸びている
昨日まではこんな風体ではなかった
ぼくにしたところで恋人のことを何も知らなかったのである
さようなら、蝶のなりをしたぼくは云う
さようなら、緑色の尻尾の恋人だったひとは応える
ぼくはゆらりゆらりと飛び去っていく
恋人だったひとはのっしのっしと平原を歩いていく
獣の匂いをした風がぐんと吹いて金色の毛を空の彼方へと運んでいく
20050810
posted by 日菜清司 at 22:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 歌流歳歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月02日

名をつける

鎌倉で猫と誰かと暮らしたい 誰かでいいしあなたでもいい(佐藤真由美

水でできたひとと暮らしはじめて三週間と二日になる
水でできたひとは水でできているので名は、ない
うしろから呼びかけるときに困る
が、水でできたひとには前も後ろも右も左も真ん中も、ない
ひゅっと現れるんである
たいがいはどこにいるのやらてんでわからぬ
気がつくとひゅっと、いる
現れてはみょうが、胡瓜、薄切りたまご、蛸の酢漬け、いんげんの胡麻和え、ほうれん草のおひたし、つぎつぎと薬味を拵えてくれる
そのようにして水でできたひとと素麺を食すのである
こんな暮らしがずっとながく続きますように、ふつふつと思う
水でできたひとに名をつけなくてはならない
なんだっていい
うしろから呼びかけてみたい
そうして名をつけられた水でできたひとはこちらを振り向いていたく破顔するんである
20050802
posted by 日菜清司 at 20:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 歌流歳歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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